自閉症の息子と絵:視野の広がり

自閉症の息子とコンタクトが取りたくて描き始めた絵は、1日1枚、下書きなし、やり直しで描き続け、150枚ほどの絵が描きたまっていきました。
彼の絵が一番おもしろかったのは、小学校4年生頃の絵です。
当時の彼の絵は、色んな情景を絵にする事ができるようになったけれど、空は青、地面は茶色というような常識に捕らわれない時期だったと思います。
小学校高学年になり、理解力が加速してきて常識的なことが入るほど、彼の絵から自由さが減っていったような気もします。
ただ、彼の目が捉えた情景を見てみると、彼の視点の角度が広がっているのが分かります。 視点が広がった分、彼の世界も広がったような気がします。

そり遊び  2001年1月(12才7ヶ月)作



標高1000mくらいのところまで、そりを引っさげて山道を登って雪が深く積もっているところまで行きました。
そり遊びは、最高に楽しかったようです。
絵を描きながら「ビューン!」と飛んでます。

アンサンブルコンテスト  2001年2月(12才8ヶ月)作



彼は、小学校3年生のときから地区の少年少女合唱団に入団していました。
彼が好んで入団したのではないですが、姉たちが合唱団に入団していたので、当番の日には、彼を連れて行っていました。
当時、校区の特殊学級に在籍していた彼に、一般の集団に入れたいという思いがあり、指導者の先生の好意で入団させていただきました。
もちろんコンテストは順位を競うのですが、先生が「歌を楽しむ」事を一番に考えていてくださったので、コンテストの舞台にも彼を外すことなく上がらせてもらったんです。
自閉症の彼は、いつもとは違う舞台という環境でパニックを起こすかもしれないというのに、やってみなきゃ分からないと、大らかに受け入れていただいて、彼は貴重な体験を重ねました。
合唱団もあと少しで終わりという頃のアンサンブルコンテストを描いた絵です。
彼は舞台に立っているのですが、観客の目になって描いています。

卒業式 2001年3月(12才9ヶ月)作



入学式で、来賓祝辞の際に長時間座っていることに耐えられなかった彼が、
「しずかにぃ〜!」と体育館中に響き渡る声で叫んだ日がウソのように、小学校の卒業式を迎えました。 式が終了すると、在校生が校庭に見送りの花道を作ってくれて卒業生を送り出してくれます。
彼の視点は、上空です。腕を振って歩いている卒業生も上から見た感じで描いています。
物の見方が、色んな角度から見えるようになったのだなと思いました。



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19年間、自閉症の息子と向き合ってきて、振り返ってみると、彼を育ててくれた事は色々有りますが、特に息子に大きな成長をもたらした「絵」について、自閉症と絵の世界を息子の絵を紹介しながら綴ります。



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